hagaki_dome_casiopea_c光赤外線天文学グループでは、口径1.5mの光赤外線望遠鏡「かなた」を用いた観測を中心に、X線ガンマ線の天文衛星とも連携しながら、超新星爆発、ガンマ線バースト、活動銀河中心核や、重力波源天体といったダイナミックな天体現象(突発天体)の研究を行っています。 ここでは光赤外線天文学グループが取り組む研究課題と個々のメンバーの具体的な内容を紹介します。

 

[グループメンバーの紹介へ] [光赤外線天文学グループのホームページへ]

突発天体とは

地上から眺める星空は静かで、ほとんど変わらないように見えます。しかし、宇宙はその静かな顔の裏に、非常にダイナミックな一面を持っています。例えば、一見穏やかに見える太陽も、詳しく見れば常に明るさが変化しており、表面では爆発を繰り返しています。広く宇宙を見渡せば、そこには、超新星爆発、激変星、ガンマ線バースト、活動銀河中心核といった、大変活発に変動している(=明るさや色が短時間に大きく変化している)天体が数多く存在しています。2017年8月17日に初めて電磁波で見つかった重力波対応天体(中性子星同士の合体)もその最も注目を浴びているものの一つに挙げられます。そうした天体を「突発天体」と呼びます。突発天体の多くは、一度に巨大なエネルギーを放出する現象であり、恒星の進化とその終焉や、巨大な星の集団である銀河の誕生と進化に深く関わっています。したがって、突発天体の活動や放射のメカニズムを解明することは、「私たちの体を作る元素がどこからやってきたのか、太陽はどうやって生まれてこれからどうなるのか」といった問題を知るために欠くことのできない重要な手がかりを与えてくれるのです。光赤外線天文学グループは、光赤外線観測を中心に、突発天体を多方面から研究し、恒星や銀河の進化について理解を深めていきたいと考えています。

03_small

極限宇宙と突発天体

恒星が死ぬ時の大爆発、死んだ恒星が作った超高密度天体からのエネルギー解放、あるいは、銀河の中心に形成された巨大ブラックホールからの高速ジェット、そうした現象が突発天体として観測さます。したがって、突発天体は一般に高エネルギー現象であり、地上実験では再現できないような大スケール・高エネルギーの極限状態の宇宙現象であると言えます。突発天体の観測的研究は、そうした極限宇宙の物理を見ることでもあるのです。

グループメンバーの紹介

Kawabata_HR

川端弘治 教授

太陽のようにいつも同じ明るさで輝いて見える恒星も、何千万年から何百億年という長い時間尺度でみると、その誕生と終焉があり、特に後者では激しい活動性を示します。その最たるものに、超新星という星全体が吹き飛びながら明るく輝く爆発現象があり、さらにガンマ線バーストという高エネルギー放射を伴うものもあることが判ってきました。これらの現象があってこそ、現在の宇宙が形作られています。私は、国内有数の口径1.5mかなた望遠鏡を柱にしつつ、他の望遠鏡や人工衛星による観測も交えながら、このような恒星や宇宙の進化の研究に取り組んでいます。そのための最先端の観測装置の開発や、標高5100mに建設された HinOTORI チベット50cm鏡など新しい設備の立ち上げにも携わっています。


Uemura_HR

植村誠 准教授

宇宙には爆発する星がたくさんあります。私は特にブラックホールのような小さくて強い重力をもった天体にガスが吸い込まれていく過程で発生する爆発的な天体現象を研究しています。そのような天体では吸い込まれるガスが「降着円盤」を形成し、なかには中心付近から「ジェット」と呼ばれる超高速のプラズマ噴流が観測されるものもあります。しかし、天体までの距離が遠く、そのような構造を直接見ることはできません。最近は天体の時間変動を利用して、観測データから天体の構造を再構成する研究にも取り組んでいます。


笹田真人 特任助教

活動銀河核には相対論的なプラズマの噴流(ジェット)を示すものがありますが、その構造や生成機構は天体物理学上の未解決問題として残されています。私は広島大学かなた望遠鏡等を用いてジェットの可視偏光観測を行うことで、ジェットの謎を解き明かすことを目指しています。また近年発見された重力波対応天体観測を主目的とした HinOTORI 50cm望遠鏡の立ち上げ・運用も行い、重力波天体を主軸とした突発天体の観測を実施していく予定です。


山中雅之 特任助教

夜空で輝く星々には一生があり、その最期にはとても明るく輝く超新星爆発を起こすと考えられています。あるタイプの超新星は非常に遠くの銀河までの距離を測定する道具として使われ、宇宙の構造を知る手がかりとなっています。しかしながら、爆発する元の星の正体は明らかになっていません。私は、広島大学のかなた望遠鏡を用いて超新星の観測を行い、爆発の構造や爆発する元の天体について調査を行っています。また、日本国内で望遠鏡を持つ大学で作られる「光赤外線大学間連携」における研究教育活動にも従事しています。