hagaki_dome_casiopea_c光赤外線天文学グループでは、口径1.5mの光赤外線望遠鏡「かなた」を用いた観測を中心に、X線ガンマ線の天文衛星とも連携しながら、超新星爆発、ガンマ線バースト、活動銀河中心核といったダイナミックな天体現象(突発天体)の研究を行っています。 ここでは光赤外線天文学グループが取り組む研究課題と個々のメンバーの具体的な内容を紹介します。

 

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突発天体とは

地上から眺める星空は静かで、ほとんど変わらないように見えます。しかし、宇宙はその静かな顔の裏に、非常にダイナミックな一面を持っています。例えば、一見穏やかに見える太陽も、詳しく見れば常に明るさが変化しており、表面では爆発を繰り返しています。広く宇宙を見渡せば、そこには、超新星爆発、激変星、ガンマ線バースト、活動銀河中心核といった、大変活発に変動している(=明るさや色が短時間に大きく変化している)天体が数多く存在しています。そうした天体を「突発天体」と呼びます。突発天体の多くは、一度に巨大なエネルギーを放出する現象であり、恒星の進化とその終焉や、巨大な星の集団である銀河の誕生と進化に深く関わっています。したがって、突発天体の活動や放射のメカニズムを解明することは、「私たちの体を作る元素がどこからやってきたのか、太陽はどうやって生まれてこれからどうなるのか」といった問題を知るために欠くことのできない重要な手がかりを与えてくれるのです。光赤外線天文学グループは、光赤外線観測を中心に、突発天体を多方面から研究し、恒星や銀河の進化について理解を深めていきたいと考えています。

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極限宇宙と突発天体

恒星が死ぬ時の大爆発、死んだ恒星が作った超高密度天体からのエネルギー解放、あるいは、銀河の中心に形成された巨大ブラックホールからの高速ジェット、そうした現象が突発天体として観測さます。したがって、突発天体は一般に高エネルギー現象であり、地上実験では再現できないような大スケール・高エネルギーの極限状態の宇宙現象であると言えます。突発天体の観測的研究は、そうした極限宇宙の物理を見ることでもあるのです。

グループメンバーの紹介

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吉田道利 教授

宇宙には銀河と呼ばれる天体が多数存在しています。典型的な銀河は、およそ10万光年の大きさを持ち、千億個もの恒星と、大量の星間物質やダークマターを含む複雑なシステムです。銀河は恒星の誕生の場であると同時に墓場でもあり、その中で恒星が輪廻転生を繰り返しています。しかし、銀河の形成と進化については多くのナゾがあります。私は、激しい活動を行っている銀河の観測的研究を行い、銀河進化と銀河の活動性の関係を調べています。また、ガンマ線バーストや重力波放射天体にも興味を持ち、そうした現象を調べるための観測装置の開発も行っています。


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川端弘治 准教授

太陽のようにいつも同じ明るさで輝いて見える恒星も、何千万年から何百億年という長い時間尺度でみると、その誕生と終焉があり、特に後者では激しい活動性を示します。その最たるものに、超新星という星全体が吹き飛びながら明るく輝く爆発現象があり、さらにガンマ線バーストという高エネルギー放射を伴うものもあることが判ってきました。これらの現象があってこそ、現在の宇宙が形作られています。私は、国内有数の口径1.5mかなた望遠鏡を柱にしつつ、他の望遠鏡や人工衛星による観測も交えながら、このような恒星や宇宙の進化の研究に取り組んでいます。そのための最先端の観測装置の開発も行っています。


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植村誠 准教授

宇宙には爆発する星がたくさんあります。私は特にブラックホールのような小さくて強い重力をもった天体にガスが吸い込まれていく過程で発生する爆発的な天体現象を研究しています。そのような天体では吸い込まれるガスが「降着円盤」を形成し、なかには中心付近から「ジェット」と呼ばれる超高速のプラズマ噴流が観測されるものもあります。しかし、天体までの距離が遠く、そのような構造を直接見ることはできません。最近は天体の時間変動を利用して、観測データから天体の構造を再構成する研究にも取り組んでいます。


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内海洋輔 特任助教

私は宇宙科学センターの一員として HinOTORI プロジェクトを推進しています。 HinOTORI は中国チベットに50cm望遠鏡を設置する野心的なプロジェクトです。多色同時撮像カメラを取り付けることで高時間分解能観測を可能にし、重力波対応天体を始めとする時間変動天体の光学フォローアップ観測を目指しています。

 


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秋田谷洋 特任助教

太陽のような恒星は、塵やガスからなる分子雲が重力で収縮して誕生すると考えられています。その過程にある天体を可視光・近赤外線により観測することで、星の形成過程の研究をしています。その観測に必要となる、かなた望遠鏡用の観測装置「可視赤外線同時カメラHONIR(オニール)」の開発・運用も進めています。この装置は、可視光と近赤外線で同時に、撮像、分光、ないし、偏光観測ができるもので、世界的に見てもユニークな装置です。
また、かなた望遠鏡と日本の大学・研究機関が有する国内外の10数台の望遠鏡を連携させて、ガンマ線バーストや突発天体現象の観測研究を進める「光・赤外線天文学大学間連携(OISTER)」事業の広島大の実務代表者としても活動しています。