2016年 5 月 20 日(金)に「広島大学極限宇宙研究拠点 (Core-U) セミナー」を開催しました。50名以上の方々にご参加いただきました。誠にありがとうございました。


通算第16回(2016年度第1回)広島大学極限宇宙研究拠点(CORE-U)セミナー

日時: 2016 年5月 20 日(金)16:30 ~18:00
場所: 広島大学 理学研究科 E002 教室
講師: 伊藤 洋介 特任助教 (東京大学)
タイトル:「GW150914の発見とKAGRAにおけるデータ解析の現状、展望」

アブストラクト:
2015年9月14日、advanced LIGOは重力波の直接検出に成功した。GW150914と呼ばれるそのイベントは、太陽質量の36倍および29倍の2つのブラックホールからなる連星系が合体し、3倍の太陽質量に対応するほどの質量エネルギーが重力波として放出されたことによるものと考えられる。おそらくこのような現象 は宇宙では稀ではなく、今後重力波によって、ブラックホール時空の性質、中性子 星などの超高密度天体の物性、超新星爆発の機構、さらには一般相対性理論の検 証など、現在のところ全く未知の物理について研究が進んでいくと考えられる。重 力波による天文学が創成される。日本も重力波の国際検出網に加わるべく重力波 検出器KAGRAをアップグレード中である。 本講演ではまず、データ解析手法一般について簡単に説明したち、advanced LIGOが重力波を直接検出した経緯、解析手法、速報システムが果たした役割、電 磁波観測網との関係、検出した天体などについて概観する。その後、日本の重力波 検出器KAGRAにおけるデータ解析体制を人員、計算機資源、ソフトウェアの面から 解説する。重力波は極めて微弱で、その検出は解析においても雑音との戦いである。 重力波検出器は20万ほどの補助チャンネル、年間数Petabytesほどのデータをど のように有効活用するか、我々が最近取り組み始めている独立成分分析を用いた 多チャンネル解析ついても紹介する。また私自身の専門として、将来の検出を狙っ ている高速自転中性子星からの連続重力波の検出について、検出手法、検出可能 性、および天文学・物理学的な意義を解説する。


広島大学極限宇宙研究拠点(Core-U) 岡部 信広  問合先:okabe@hiroshima-u.ac.jp
セミナー 世話人 志垣賢太、水野恒史、両角卓也